相続人4人の中の代表相続人が、便宜的に相続不動産の名義を取得して売却したケース(小山市神鳥谷)
母親が86歳で亡くなりました。父親は7年前に亡くなっているため、今回は子供4名が相続人となります。
兄弟4人とも結婚していて、持家に住んでいます。今後この実家を使う予定はないし、管理していくのも大変なので、売却して代金を分けたいと考えています。小山市の自宅は築年数が経っているので建物を解体後、更地で売却予定です。土地は約200坪あり、2000万円以上では売れそうです。次男と次女は仕事で来れなかったため、長男と長女が二人で相談にいらっしゃいました。
当事務所の対応
お話を伺うと、当初は実家に思い入れもあり、代表者が相続して維持していく事も考えていらっしゃいました。しかし、建物が非常に古く、空き家にすると管理面に不安があり、また建物をとりあえず取り壊し、その後土地を活用することも考えましたが、更地にすると固定資産税が高くなるため、売却の方向で相続人全員の話が決まりました。売却したお金は、法定相続分通りの4分の1ずつ兄弟で相続する話し合いができているとの事でした。相続人の全員が相続の内容自体に同意していますし、相続人間で揉めているということも無かったため、話し合いはスムーズに進める事ができます。ただ、次男の仕事は平日を休むことが難しく、また住んでいる場所が遠方であるため、実際に不動産を売買する際の手続きに参加することが難しい事が予想されました。相続不動産を売却し、その売却代金を法定相続分で相続する場合は、単純に相続人全員で法定相続分で不動産を相続し、相続人全員で不動産を売却するのが一番簡単ですが、この場合不動産の売却手続き(売買契約)には全ての相続人が関与する必要があります。不動産を売却する場合は、基本的に売主は売買契約や、代金の授受、所有権移転登記に必要な手続きに関与しなければなりません。(所有権移転登記の手続きや代金の授受は平日に行うことが通常です)しかし、次男の方は仕事を平日休むことは難しく、また売買契約や決済の場所になるであろう小山市の銀行から遠いです。どうにか次男の方の参加なしに相続不動産を売却できないかが今回のポイントでした。相続人全員の売買契約等の参加なしに相続不動産を売却するための当事務所がとった方法は、相続人の中で1人代表者を選んでもらい、その代表者を名義人とする相続登記をすることでした。そして不動産が代表相続人の名義になったあと、その代表者のみの参加で売買契約、決済をし、売却代金を相続人3人で法定相続分で相続する方法です(相続税や譲渡所得税は登記とは別の問題なので影響しません)。便宜的に相続不動産を1人の名義にし、その名義人に売買を全て任せ、売却代金について相続人全員で取得するという流れです。この方法をとれば、売買契約等に参加が難しかった次男の方も売却代金については相続できます。また、わざわざ相続人全員の予定を合わせる必要はないので、スケジュールも組みやすくなります。
結果
今回のケースでは上記のような代表相続人を相続人間で選んでいただき、スケジュールの決定もスムーズに進んだので、相続手続も迅速に終える事ができました。売却代金も皆様に問題なく相続され皆様に大変喜んでいただけました。この代表相続人を定めて、不動産を売却する方法は、相続人が遠方に住んでいる場合や仕事の都合が合わない相続人がいる場合に限らず取ることが出来る方法で、とても便利な方法です。しかし、注意することもあります。まず、代表相続人に不動産の名義を移しますので法定相続分と異なるため、遺産分割協議書が必要になります。この遺産分割協議書の書き方を間違えてしまうと、その後の売却代金の分配が贈与とみなされてしまうケースがありますので、その点は注意が必要です。また、今回のケースのように売却が簡単な不動産であれば良いですが、売れにくい不動産の場合は、長期間不動産が代表者名義になるため、仮に代表相続人に相続が発生した場合にリスクがあります。
このように代表相続人名義にする方法にはメリット、デメリットがあるので、相続不動産の内容、相続人の関係、相続する内容によって柔軟に使いわける必要があります。当事務所は、行政書士事務所と不動産会社が運営していますので不動産相続の事案を数多く経験しています。お気軽にご相談ください。
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