数年空家になっていた実家を相続したケース(栃木市大平町)
ご依頼人様は、亡くなった長男の弟(次男)です。8年前、父親が亡くなった時に、両親が住んでいた実家(栃木市大平町)を独身だった長男へ相続し名義を変更しましたが、今回その長男が亡くなりました。(独身で子供もいません)。両親は既に他界しているため、次順位の兄弟(次男・長女)が相続人となります。ただし、亡くなった長男と次男長女は仲が悪く、疎遠になっていました。それもあってか、長男が亡くなってから2年間空き家として放置されています。数か月前から近所から空家の管理について苦情があり、このまま放置するわけにもいかず困っていました。長女は今回の相続に関わりたくない気持ちがあるようで、次男に全てを一任しています。このような事情のため、次男一人が当事務所まで相談にいらっしゃいました。
当事務所の対応
お話を伺うと、被相続人(長男)と、相続人(次男、長女)が仲が悪く疎遠になっていましたので、初回面談では、相続の全容、特に相続財産の状況が把握できませんでした。ただ、不動産(実家)の存在はわかっていましたし、被相続人(長男)は生涯独身であり、両親も他界していたため相続人は兄弟である次男と長女だけでした。次男、長女ともに長男とは疎遠になっていましたし仲も悪かったので、例え財産があっても相続したくない気持ちがありました。つまり相続放棄も検討されていました。相続放棄とは法的に相続財産を相続しない行為であり相続放棄をすれば相続人ではなくなります。しかし相続放棄した相続人は新たに相続する者(次順位の相続人)が現れるまで、相続財産を管理しなければなりません。今回相続人は兄弟でしたので、最終の順位の相続人であり、新たな相続人が出てくる可能性はありません。近隣から空家管理に関しての苦情が来ていますし、次男、長女は相続放棄をしたとしても、相続財産を管理する義務から逃れる事はできません。預貯金とは違い、不動産の場合は、誰も住むことなく放置しておけば、老朽化して倒壊する危険性や、害虫の発生、火災の原因等にもなりかねません。そのような状態になった場合は、次男、長女が責任を負う可能性があります。つまり、相続放棄をしたのに、管理し続ける義務だけ負わされ、管理費用も発生し続けることになります。更に相続放棄してしまうと相続人ではなくなりますので、相続財産を自由に処分できなくなってしまい、管理だけ継続していくことになり、八方塞がりの状況になってしまいます。当事務所としては、相続放棄をすることにより、このようなリスクがあることを相続人に説明しました。相続人も相続不動産が存在するのに相続放棄をするリスクを理解し、不動産を相続し売却する方向での話し合いが決まりました。幸い長男が住んでいた不動産は空き家で老朽化していましたが、更地にして土地として売却することができ、相続手続きも完了することができました。また、建物の解体費や、その他不動産売買に関わる諸費用を差し引いても、プラスの相続となりました。このようなケースで注意が必要な点は、売却することが難しい不動産であった場合は、相続放棄もできず、売却することもできない状況になっていた可能性があります。余談ですが、相続不動産を売却する方針の場合は、まずは売却できる可能性があるかも確認が必要です。
結果
上記のようなケースで、不動産を相続した場合には、相続を放置したり、相続放棄をすることはリスクがあります。特に不動産は空き家になるとさまざまなトラブルが発生しますし、近年では、空家、空地などの管理に対する世間の目も厳しくなっています。また処分するにしても、不動産を放置することにより、当初の価格より下がってしまう恐れもあります。このように相続財産に不動産がある場合、その不動産を相続する相続人がいない場合は、様々な問題が発生することに注意が必要です。当事務所は、行政書士事務所と不動産会社が運営していますので不動産相続の事案を数多く経験しています。お気軽にご相談ください。
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